ぐったりとうだるほどの暑さが続いていたいちにちも、今は。過ごしやすい風が、朝とゆうべに部屋の中へと入ってくる。
夏休みが終わったようで、近くの小学校に子どもたちが戻ってきた。にぎやかでざわついた気配が小学校にはある。
それといれかわるように、セミの声が減った。
あれほど、たくさんいたセミたち、どこへいったのだろう。
そろそろ天に召されたか?
先日の演奏会で詩の朗読を聞いて、ずいぶん久しぶりに「セミの詩」を思い出した。夏休みの宿題の副読本でみかけた室生犀星の詩。中学生以来の再会で、なつかしい人にあったような気分になった。
「しいい」とセミが鳴く、その鳴き声が面白いからと覚えた詩。夏休みが終わってしまうさびしさを、中学生にはわからない大人のことばでかいてあるように思えて、かっこいいなと思っていた。
セミの詩は「蝉頃」という題名だった。
いづことしなく
蝉頃.室生犀星
しいいとせみの啼きけり
はや蝉頃となりしか
せみの子をとらへむとして
熱き夏の砂地をふみし子は
けふ いづこにありや
なつのあはれに
いのちみじかく
みやこの街の遠くより
空と屋根とのあなたより
しいいとせみのなきけり
今年も、ちゃあんと夏が来て。少しずつ秋が来ている。
この夏、何をやれたかな。何ができたかな。
会いたかった人たちに会いに行けた。やっぱり楽しかった。
相手さまよりセミナー講師として声をかけてもらえた。少し迷ったけれど、うれしかった。
七夕まつりをして、長女の乱をお盆に起こして……思い出したら、おかしくなった。
夏の食べもの。スイカ、モモ、ハモ。今年もおいしく食べた。ごちそうさま。
これが、ことしの夏。わたしのトピックス。いつもの夏を過ごしながらも、今年ならではの夏も過ごしていた。
毎年おなじようで、どこか少しずつ違っている夏。
夏の季節に、ありがとう。
夏が終わるさびしさを残したまま、秋が増えていく。少しずつ秋の虫の声が増えてきている。
秋がかなり近くまで来ている。