夏の終わりがやってきたので演奏会に行ってきた。
毎年おなじみとなったアンサンブルグループCLASPさんの定期演奏会。
今年は、オペラ蝶々夫人のダイジェスト。詩と音楽のメドレー(朗読劇?)も、かなり楽しみに行ってきた。
で、泣きました。
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演奏会の始まりは、詩と音楽のメドレー。
「夏は来ぬ」「たなばたさま」「宵待草」「初恋」「浜辺の歌」、 夏をテーマにした作品をあつめていた。
夏が始まり夏が終わるまでをあらわしたような構成。
なかでも「浜辺の歌」はわたしが一番すきな歌。
「浜辺の歌は輪廻転生のうた」と解説者さんが紹介していたのがとても印象的だった。
昔の人を月の色や星の陰におもいだす、浜辺の歌。
ずっと、ずっと昔から、記憶や思いをつないできて今がある。うねるようなピアノの音。
この歌を聴いていると、もうそこに秋がいると実感できる。もの悲しいような夏の終わりを感じる。
一年後、わたしは何をしてるかな。
そんなことを思いながら、聞いていたのでした。
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「マダム・バタフライ回想録」は、 プッチーニ作曲の悲恋なオペラ、蝶々夫人のダイジェスト版。
オペラ蝶々夫人(ざくっとしたあらすじ):アメリカからきた軍人さんが、日本の少女・蝶々さんと恋をして子どもを授かる。軍人さんにとっては現地妻、日本にいる間だけの関係のつもりだったから、本国へ帰ってしまって別の人と結婚。
数年たって、日本にのこしていた蝶々さんを軍人さんは奥さんもつれてたずね、子どもを渡してほしいと頼む。そして……。
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オペラ蝶々夫人では「ある晴れた日に」という歌が有名で、今回の演奏会でも歌われた。
歌そのものは通常のようにイタリア語で歌われた。オペラ蝶々夫人を字幕付きで見たことはあったけれど、今回のような朗読劇の形ははじめて。ダイジェスト(?)とはいえ、ストーリーがわかったうえで歌を聞くことができる。
ひたすらにピンカートンさんを愛し続ける蝶々さん。愛しながら、次に会わることを楽しみにしてる蝶々さん。
その一途な感じが、とってもかわいらしくて、切なくて。
物語が分かったうえで歌を聞くと、もうだめ。悲恋に終わると知っているだけに、あのかわいらしさに泣けてくる。 目がうるみっぱなしになってしまう。
恋人や夫に向ける愛。子どもに向ける愛。どちらも、とっても大きな愛。
そのために命を使う蝶々さんのかなしい強さを感じて、また泣いて。
そして、会場を後にしたのでした。
生な音につかっていられるのは、とても贅沢でここちよく。
音楽のなかに沈み込んでみることも、泣いてみることも。どちらも心のあわだちを落ち着かせる。
どこか瞑想にも似た感覚にある。
心のあわだちをおちつかせ、静まりつつあるなか。
もうすぐ、夏が終わる。