6月の末になり、そろそろ今年が半分終わるころ、夏越の祓(なごしのはらい)が行われる。
神社の境内に置かれた茅の輪(ちのわ)をくぐり、この半年のけがれをはらい。これからの健康を願うまじないをかける日、のこり半分の今年に、あらためて向き合う日。
神事としての夏越の祓い
茅の輪くぐりで祓う(はらう)
茅の輪(ちのわ)くぐりは、心身を清める神事。
唱えことばをとなえながら、茅の輪をくぐることで、災いや病を避ける呪力がかかるとされているものです。
水無月の夏越の祓する人は千歳の命延ぶといふなり
夏越の祓の唱えことば(詠み人知らず、題知らず。 拾遺和歌集より)
(みなつきのなごしのはらいするひとは ちとせのいのちのぶといふなり)
茅の輪は、すっとまっすぐに輪をくぐり抜けるだけのこともあれば、8の字にまわることもある。
8の字にまわる茅の輪のくぐり方、神社さんのHPに書いてあったのでこちらでもご紹介。「左⇒右⇒左」で8の字に動いていけるから覚えやすいかもしれない。
茅の輪のくぐり方
茅輪神事の由来.神明社HPより
(1) 先ず、茅の輪の前に立って軽く礼をします。左足からまたいで輪をくぐり、
左回りに回って元の位置に戻ります。
(2) 茅の輪の前で軽く礼をします。右足からまたいで輪をくぐり、
右回りに回って元の位置に戻ります。
(3) 茅の輪の前で軽く礼をします。左足からまたいで輪をくぐり、
左回りに回って元の位置に戻ります。
(4)茅の輪の前で軽く礼をします。左足からまたいで輪をくぐり、
ご神前まで進みます。二拝二拍手一拝の作法でお詣りします。
茅の輪という円によってつくられた境界をくぐることで、切り分けのまじないが生まれます。
これまでの時とこれからの時を切り分ける再出発のまじない。
日常と災いや病を切り分ける長寿と健康のまじない。
ひと形にけがれを移して祓う(はらう)
白い紙にひと形を書くか、白い紙でひと形を切り抜いて。今年半年分のけがれをひと形に移す。
ひと形には、名前と生年月日、数え年を書く。
身体の表面をなでてて紙に気配をうつし、仕上げにじぶんの息を3度吹きかける。
これで、自分の気配と半年分のけがれを写し取ったひと形のできあがり。
わたしの地元では、名前などを書いた後のひと形を一晩、ふとんの下に敷いて寝て。けがれを移しとっていた。けがれを移したひと形は封筒に入れて神棚へ。夏越祭りの当日に神社へもっていっていた。
神社へもっていってお祓いをお願いしたり、じぶんの家で燃やしたりしてけがれを祓う。
夏越の祓いでひと形の用意をしてくださっている神社さんもあるから、神社さんへ行ってひと方を作るとやり方が分かりやすいかもしれません。
夏越の祓は7月末のことも
東京方面に住んで驚いたのは、6月末に夏越の祓いがあること。
7月末、お盆の前に祓いをする感覚強かったので、不思議な気分。
7月末に夏越の祓いをするのは、旧暦に準じて(月おくれの旧暦をつかって)いるとき。
6月1日が旧暦からいまのカレンダーにうつるとき、季節柄などを考えて月後れでまつりをおこなったときのなごり。
今の暮らしの中で時のながれをカレンダーで半分にくぎるとき、前半を終えるのは6月末。
そう思うと、6月末に祓いをもつのは、一年を半分ずつに見直すから。それで、ちょうどいいのかもしれない。
今年が半分終わったから、つぎの半年をみる
年が改まるとき。新学期が来るとき。暮らしている中で、時間を区切られることがある。
その区切りがあるから、人はつぎを考えやすくなる。
これまでを振り返ってみたり、これからを考えたり。
今年が半分おわって、半年分のありがとう。
これからはじまる半年分、考えてみたいこと。やってみたいこと。
もう少しできるかな。もうちょっと動こうかな。
もうやらなくていいな。次はこうしよう。
あのことはうれしかったな。ありがとう。ひとつきぶんを振り返る時みたいに、半年分を振り返る。
じぶんがはまり込んでいたひとつから抜け出して。また次に動こうとはじめる。
半年、ためして動けたことを驚く。喜ぶ。
そしてもっと身軽に。足取り軽く。暮らす日々を。
季節が自然に変わるみたいに。人の暮らしも自然に変わっている。
暮らしが変わっていくなかで、じぶんも一緒に変わっていく。
変わっていくじぶんを確認しておくと、自然の流れに慌てず寄り添って変わっていける。
自然にしてたことを意識しすぎたらかえってぎこちなくなる。
意識しないでいられるくらい、少しずつ、今を変えていく。
今、何が起きていても、何が起きていなくても。
その時々に、ちょうど良く。景色は動く。