
心の中に溜まった後悔や迷い。満月の夜に、そっと手放してみませんか?
毎日を必死に生きる中で、誰もが心の片隅に、小さな後悔や迷いを抱えているもの。
もうすぐ満月。帰り道、空を眺めたらぽっかりと月が昇ってきているのが見えはじめる。
満月の時期は、潮の満ち引きのように人の感情も揺れやすいと言われてる。実際、睡眠の質や感情の起伏に影響があるという研究結果も報告されているから、そのタイミングで振り返りの時間を持つのは、どうだろう。
心を浄化する「夢流し」の知恵
旧暦の睦月十五日の満月はもうすぐ。その日は、小正月といって、その昔はお正月(年のはじまり)だった。
そんな小正月の前夜。旧暦睦月の十四日の夜は、夢流しというおまつり、おまじないをする日。
ということで、今回は「夢流し」のはなしを。聞き覚えのある方もない方も、この機会に知っていただければ。
夢流しとは
夢流しとは、悪夢をいい夢(吉夢)に変えるおまじない、伝統的な行事。
最近知ったのだけれども、「夢流し」は冬の季語になっているとのこと。
自分の見た悪い夢をおまじないによっていい夢に変える、という意味が込められているそうです。
私が祖母から教わった夢流しは、少し異なる意味を持っていました。(祖母は、古いまじないをしたり夢見をしたりする拝みやさんでした)
その祖母の教えによると、夢流しは旧暦の1月14日の夜(旧暦の小正月を迎える前の夜)に行う、エネルギーの解放のまじないの夜をさすという。
【夢流しのやり方(祖母にならった方法)】—
白い紙を用意して、そこに丸を書く。そして、その丸に向けて息を吹きかけて、自分自身とその丸の間に道をつなぐ。あとは、その紙を枕の下に敷いて眠るだけ。
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眠っている間に「気がかりや心残りを丸が吸い取り、お月さまとつながって浄化してくれる」とは、祖母の談。
満月の日に迎える新しい年を前に、夢流しで浄化をし。心の中に新たな年のエネルギーを受け止める用意をしたという。
夢流しの本質
人間が「こんな風になりたい」「こんな風に生きていきたい」という思いを抱いた時に、次へ進むために心を開放するための夜。それまでの人生で積み重なった後悔や心残りは、心の底に溜まっていて、それらを空の船(うつほ船)に乗せて、夢の中にそっと返してあげる。そうすることで、その重く凝っていたエネルギーを解放して、次の夢(なりたい姿)に向かう力に変えるのだとか。
祖母は「エネルギー」という言葉は使わず、「大切にしている魂(たま)」という表現を使ってたけれど、確かに。後悔や気がかりに向けられていたエネルギーを解放することで、新しい人生を生きる力に変換できる。

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「あのとき、こうしていれば次はどうなっただろうか」とか、「もっと頑張っていたら、何か違った結果になったのかも」とか。
ふとした瞬間に湧き上がる後悔や疑問は、心の中にじわじわと積もっていくもの。
「あの選択が間違っていたのかな」と、自分を責める気持ちが強くなると、次に進む足取りがどうしても重くなりやすい。そして、それらの後悔が、心の中でぐるぐる回り続けると、前を向く力を失ってしまうことだってある。
だから、夢流しは、自分自身のエネルギーを自分の手の内に戻すためのまじない。
「心理学」とか、学問を持ち込まなくても、日常のまじないでそれを取り入れていたってところがおもしろい。
現代に活かす「夢流し」の方法
現代的なアプローチとして、「心残りや後悔」の書き出しのワークをやってみるのは、どうだろうか。
これ、意外と効果があるので試してほしい。
あるクライアントさん(仕事とお子さんの送り迎えなどとの兼ね合いを困っていた方)に。
毎月の満月の前日に20分だけ時間を作り、その月の「手放したいこと」を書き出すワークに取り組んでもらった。すると3ヶ月後には、「決断が早くなった」「心にゆとりができた」という変化が現れたそう。(1年たった今も続けてますと、先日、ご報告メールをいただきました)
満月の前日に、自分の心残りや後悔を書き出す習慣をつける。
自分の気持ちを整理し、再確認する機会として、満月のタイミングを使ってみる。
自分が「やりたいけど、なかなかできていないこと」や、「これ、もうやめてしまおうか」と迷っていること。心の中で引っかかっている小さな後悔や気がかり。
それらを紙に書き出してみると、どこかスッキリする。
自分の目で見直すことで、初めて本当の気持ちに気づくことも多いもの。
「書き出す」という行為には、脳内の情報を整理し、感情を客観視する効果がある。目で見て触れられるものをとおして、見えないものに想いを馳せると、よりよく変えて行ける。
夢流しの習慣は、このような心理的メカニズムも活用した、先人の知恵だったのかもしれない。

「これ、本当にやりたいの? それともただの義務感なの?」
そんな風に、自分に問いかけてみることで、やることとやらないことをはっきりと選び直すことができる。
だから、書いて、見て、確認する時間を持つのは大切。書き出すことで、「これでいいことにしよう」と、前向きな気持ちの切り替えに使えるから、なかなかに便利。(それでも、やっぱり決断するのは難しい)
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選び直したり気持ちを切り替えたりした結果、心に余白が生まれ、そのスペースに新しいエネルギーや流れが入ってくる。
だから、日々の忙しさに流されがちなわたし達も、ふとした瞬間に「今、このタイミングで一度立ち止まって、自分の気持ちを整理しよう」と思い出すのが大切。
例えば。スマートフォンのカレンダーに「振り返りの夜」をマークしておいて、リマインダーを設定する。
手書きが苦手な方は、スマートフォンのメモアプリに書き出すのもいい。
大切なのは、定期的に自分と向き合う時間を作ること。自分を振り返る日を設けておくと、心の中に新たな流れが生まれる。
その振り返りのタイミングとして、満月や新月という自然のリズムを使ってみる。
(満月の日にやってみるって、おまじないっぽくて。ちょっとたのしくなりません?)
2週間に一度というタイミングを意識していくだけでも、心が軽くなる感覚が得られるはず。
まとめ
伝統的な夢流しの風習、まじないを、現代のわたし達も心の整理整頓の機会として使いませんか。
定期的に自分の気持ちと向き合い、新しい一歩を踏み出すきっかけとして、この習慣(満月や新月の日に、心残りや後悔を確認する書き出しワーク)を取り入れてみてはいかがでしょう。
今夜、窓辺に立ち、月を見上げながら、あなたの心の声に耳を傾けてみませんか。
その小さな一歩が、明日への扉を開くかもしれません。
ということで、夢流しについてのはなし。
田村洋子でした。

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