満月が照らす、旧暦師走の心もよう

今日は満月。年が明けて最初の満月なのだけれども、旧暦での師走の満月でもある。
(グレゴリオ暦では新年を迎えたばかり。でも、旧暦ではまだ前年最後の2週間を過ごしている)

そんな時期だからなのか、わたし達の内側で何かがざわめき始めてる。

新しいことを始めたい、具体的な行動に移したいという身体からの強い衝動と、
もう少しじっくりと自分の内面と向き合いたいという心からの静かな願いとの、
ふたつの声が響きあって、微妙な緊張が生まれてるのを感じる時期。

「はじめたい/はじめている」身体と
「じっくりとしまいたい」心とが
「あなた」というひとつの肉体の中でもぞもぞしてる。

それはまるで、温かい部屋の中から外の寒空を眺めているような。一歩を踏み出したい気持ちと、もう少しここにいたい気持ちの間で揺れている、そんな感覚。

この「もぞもぞ」とした感覚こそ、旧暦師走=丑の月の特徴的な気配。それはまるで冬至の頃に蒔いた種が、その殻を破って外へ出ようとしている瞬間に似てる。種の中で静かにエネルギーを蓄え、芽吹くための出口を探る生命力。その息づかいが、わたし達の内側で確かに感じられる。

そのため、この時期はどこか落ち着かない気分を抱える方も少なくない。前に進みたい気持ちと、今の場所にもう少しとどまっていたい気持ちが同居して、その揺れ動きに困惑することもある。

だからなのか、この内側で起きている揺らぎは、体調に影響を及ぼすこともある。

その内なる揺らぎは、時として体調にも影響を与える。
だから、「いまいち、気分がすぐれないのよね」という方があるかもしれない。
風邪をひきそうな気配がする、あるいはもう風邪をひいてしまった、という方もあるかもしれない。

でも、そんな不調も。この季節がわたし達に与える自然な反応だから、必要以上に心配し過ぎない。むしろ、この時期だからこそ感じられる貴重な時間として、大切に受け止めてみるのは、どうだろうか。

今は、この「ざわめき」と共にいる時間を大切にする。
静かに自分の内側を見つめ、本当の願いを探る時間にする。

自分の内側をみつめる、とか。本当の願いを探る、とか。
そういったはなしになると「自分ひとりで探ろう」とする場合が多い。もちろんそれも、間違いではない。(自分が知ろうとした分だけ、内側の扉は開くから)

でも、ひとりだけで知るには限界もある。だって、鏡に映る自分をみたほうが、自分を客観視できるよね。それと似てる。

日々の暮らしの中で顔を合わせている家族や友人、職場の同僚、地域の人々など、様々な人との何気ない会話や共有する時間が、新たな価値観や気づきをわたし達にもたらしてくれる。そういった関わりの中で、自分の感じているモノコトをよく知ろうとする。そこから見えるものも多い。

わたし達は誰一人として、独りで生きているわけではない。いろんな人との関わりの中で暮らし、生きている。その一つ一つの関係性があるから、生きている道が鮮やかになるし、お互いに支えあっている。だから、今年の夢や目標など、新しい年への思いを巡らせるとき。こうした身近な人々との関わりにも目を向けてみる。

そして、考える。

ほんとは、どうしたい?
誰と、どんな時を過ごしたい??

そうして出てきた「こうしたい」という夢や目標の中にある思いのどこかには、きっと。家族から受け継いだものがある。たとえば、祖母の丁寧な暮らしぶりや祀りへの姿勢、曾祖父の人とのかかわり方、父や母の仕事への姿勢。あるいは、代々伝わる家族の大切にしてきた価値観。そういった両親や祖父母、そしてもっと遠い先祖から静かに手渡されてきた想いが、今を生きるわたし達にも深く影響を与えている。

そう思い出したら、今のわたし達が次の世代へ伝える思いも、自分が思っている以上に豊かな意味を持つ。

あなたは何を手渡していきたい?

先祖から受け継いだものと、今を共に生きる人々との関わりの中で見出したものと、あなた自身の経験や想いと。それらを織り交ぜながら。
あなたは、どんな未来をつむいでゆきたい??

旧暦師走の満月は、わたし達にそんな深い問いかけをしているように思える。

前へ進もうとする意志と、立ち止まって振り返る大切さ。そして、人と人との繋がりがもたらす豊かさ。それらすべてを含んでる、この時期だからこそ、ここから立春へと向かう新たな年への歩みもより確かなものになっていく。

この満月の下で、少し立ち止まる。心の奥にある気配を感じようとしてみる。
あなたの中に芽生えている新しい命、新しい「はじまり」の鼓動に、そして周りの人々との温かな繋がりに、静かに耳を傾ける。

そこから見えてくる景色は、きっと。あなたの新しい年への大切な道しるべとなるはず。

新しい年の夢や目標を描くときに
そんな視点も大切にしていただけたなら、と思ってる。

それでは、またね
田村洋子でした

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