ゆだねる。信頼と安心と感謝と。

最近、なかなか車を運転する機会がない。都内で暮らしている間は、車を使うよりも、電車やバスを乗り継いでいくのが、都合が良い。

けれど帰省している間は別だ。電車が来るまでの間隔は遠くバスの運行ルートも限られている。近くに商店やスーパーマーケットもないので、少し遠出して大きめのスーパーマーケットでまとめ買いする。 つい、車に頼ることになる。だから、今回の帰省でもレンタカーを借りた。

車を運転するのは、夫。普段はオフィス内での仕事が多く、なかなか運転をする機会がない。年に一度、帰省するときに運転するのみだ。いつもは運転しない人が運転をする車に乗せられて進むから、助手席に乗ってわたしはどきどき、ばくばくする。

もっと、ここでアクセルを踏んでくれればいいのに。こっちでブレーキを踏めば、もっと静かに停止できるのにと。気が気ではない。

アクセルを踏んで加速するタイミングは、わたしが覚悟したようにはやってこず、身体があちこちにふりまわされがちになる。 ブレーキを踏むたび、わたしの思うタイミングとあわないようで身体が前に飛び出しそうになる。緊張したまま助手席に座って、わたしは少しずつ車酔いがひどくなっていく。

これなら、まだ。わたしが運転するほうがましかもしれない。運転が下手だとしても、2か月に一度くらいは車で運転する機会のあるわたしのほうが、車慣れしている気がする。

そうか、これは「ゆだねる」練習なんだ。

夫が運転しようと、私が運転しようと。目的地は同じ、乗っている車も同じ。ただ、加速や停止のタイミングが夫と私とで違っているだけ。

わたしが、わたしのタイミングにあわせての加速や停止をするようにと夫に願うのは、夫を私の思うように操りたいと願うことと同じ。わたしはわたしのことしか見ておらず、わたしのいうとおりに動いてねと押し付けてしまうことと同じ。

今は、夫に運転をおまかせしているのだから、加速や停止のタイミングは夫まかせ。 夫の様子をみて、どこで加速していくか停止しそうかを知る。それにあわせて、わたしの身体もタイミングを合わせていく。夫に車の運転をお任せした以上は、ただその運転に身をまかせるだけなんだ。車になれていない夫が、少しでも安心して運転できるように、助手席の私は安心したように座っていればいい。

自分で車を運転すれば、私の好きなタイミングでブレーキとアクセルが使える。そのほうが楽だなと思うし、安心だってできる。でも、それと同じくらい。夫の運転も信頼して安心すればいい。夫がどのタイミングでアクセルを踏むのか、ブレーキを踏むのか。信じて、様子をながめて、受け入れていけば……車酔いもしない(かもしれない)。

ああ。ゆだねるって、たぶん。こういうこと。おまかせって、こんな感じだ。

相手に丸投げして、相手のタイミングを信頼すると決めて、ただ安心してそこに身を任せる。自分の思うタイミングとは違うけれど、それでもそこに安心している感覚。自分が思っている以上に、相手を信じてまかせきってしまわなければ「ゆだねる」ことにはならない。

まかせる。ゆだねる。それは、自分のことを相手に明け渡してもいいと思うほど、くっきりと信頼して安心しきってしまうこと。自分のタイミングや感覚を明け渡すことになるから、ほんとうに恐ろしく感じる。

わたしは、なかなか自分のタイミングや感覚をだれかに明け渡すことができない。自分から手放してしまうより、自分でなんとかしてしまいたくなる。だれも信用できないと思ってるのかもしれない。

それでも、相手を信用すると決めて、相手の様子に身を任せる。と、ここまで思い付き。助手席に座ったまま、仕方なしに身体の力を抜く。もうやけくそ。夫の運転をたのしむことにする。周りの風景を見ることにして、目に入る信号の色を読み上げながら、もくもくと助手席で運転以外のことに心を向ける。夫の運転におまかせして、車の一部になった気持ちで景色を眺める。

ほんとは、自分で運転するほうが落ち着いていられる気がした。でも、たまには。こんな風に助手席で「ゆだねる」練習。それもいいものかもしれない。

もしかしたら、わたしに運転を預けてしまえば楽だっただろうに。慣れない運転を「やるよ」と一言で引き受けて、たのしそうにしていてくれた夫に感謝の気持ちが湧いた、ありがとう。私は、そのおかげで「ゆだねる」の練習もできた、今日のブログネタもできたよ。ありがとう。

助手席にいると視界に入ってきた猛禽類を観察撮影できるのが嬉しい
田村 洋子

”気配は答え。気配は本物。
気配を感じて、じぶんを生きる。”
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●魂振=意識の周波数を上げる実践のマニア*瞑想と呼吸実践が日課

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