回り道をして、きょろきょろと

涼しい風が吹いてきそうな清流の近くに住む友人の写真を見ていたら、幼い姉妹が水遊びや魚取りをしていそうだなと思った。同じことを感じる人はいるもので、そこからトトロの話になった。

トトロはスタジオジブリで作られたアニメーション映画に出てくる大きなフクロウかネコみたいな妖怪(?)。その映画では、幼い姉妹が引っ越した田舎でトトロなどの妖怪(?)たちや自然いっぱいな風景と出会う。ちょっとファンタジーな日常を描いた作品。

森にすむ、ふかふか毛むくじゃらのトトロ。
アニメーションの中では樹のほらの中に住んでいたり、雨降るバス停の横でヒトと出会ったりしていた。

わたしが住んでいた実家のあたりも、結構な田舎で。トトロのいた風景に似ているところが、あるようなないような。

もしかしたら、このあたりにも住んでいるかもしれないと探して回ったけれど、姿は見えなかった。
トトロたちは子どもにしかその姿が見えない。大人になろうと頑張っている子どもには姿が見えないのか、とがっかりしたことも思い出した。

どうしても、トトロの毛むくじゃらが気になる。

あの毛並みはごわごわしているのか。するりとなめらかでふかふかしているのか。
くしやブラシで、ネコの毛並みを整えてやるように、トトロの毛並みも整えさせてもらえるのか。
水浴びをしているのか。日なたの獣のようなにおいはするのか。

いろいろと気になることがあったな。と思い出した。

今みたいに、感情のこととか人との関係のこととか。あんまり、気にしていなかったな。
ただ、トトロに会いたい。妖怪や妖精さんにもっと会いたい。その思いだけだったかもしれない。

そういえば、山に入るとき(生物調査や山崩れの調査が仕事だった頃)。調査の記録をとりながらも、ファンタジーな想像ばかりしていた気がする。

斜面調査をしているときに、この石や斜面が音声で、その傷み具合やいまの調子を教えてくれるなら、すぐ調査がおわるのに。石や山と言葉が通じないからわからないだけなんだろうか。

あの、山影から恐竜が顔を出したら……このバッテリーやらレンズやら、分解した機械をつまみあげて下までおろしてもらえないかな。出会ったら何を話そう。いきなり食われるかもしれないから、もっと安全な生物と出会う方がいいだろうか。

安全な生き物だったら、妖精ならいいんじゃないか。調査中の木々のあいだから、妖精がぽとりと落ちてきたら……ひとり、撮影ポイントで動物を待つ間も、テレパシーつかって静かに話をしていよう。風を見て、土を見て。妖精やトトロたちが迎えに来ないか。一緒に待とう。

生き方の調子は、ゆらゆらと波のよう。波は高くなったり、低くなったり。
全体を見たときは平均化され、調整をとる機能がついている。

山や川に戻っているときは、ぼんやりと。ファンタジーな世界の中に生きている。ふと我に返った時、ぎくりとするくらい現実が遠い。
野や畑に出ているときは、ファンタジーと現実が重なる世界に生きている。

平均化の機能がついているから、山から出て街に暮らすときに、かなりのリアリストになろうと頑張るのかな。

それでも、街の中で。
気もちのよい風を追いかけたり。雨のにおいをかいだり。
ビルの隙間から空を見上げたり。歩道の近くの 小さな緑を見つけたり。

現実の中にあるファンタジーへの入り口をいつも探している。
街の中で暮らすリアリスト(現実)は、小さなファンタジーでかろうじてバランスを保とうとしている。

今日も、回り道してきょろきょろと。気づくと、ファンタジーへの入り口を探していた。

もう、街の暮らしが中心になって10年になった。
そのお陰で、街の中のみどりや草陰に妖精を探すのが少し、上手になった。

トトロの種が埋まっていそうな木。
苔の間から、ひょこっと妖精がでてきそう
田村 洋子

”気配は答え。気配は本物。
気配を感じて、じぶんを生きる。”
*自分の才能や可能性を最大限に発揮するためのプログラム提供
●魂振=意識の周波数を上げる実践のマニア*瞑想と呼吸実践が日課

活動理念:
●見えないものを見える形に ◆笑顔ではなうた、おいしいごはん #じぶんを生きる 自然に生きる

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