そのまま、ぱたんと。静かに眠りにつくのも気持ちが良いのだけれど。瞑想を誘導してくれるアプリの音声に沿って眠るのも、また。なんとなく気持ちがいいようで。
ときたま、瞑想アプリのお世話になっている。
どのアプリがよさそうか。あれこれと試してみたけれど「寝たまんまヨガ」というアプリが、今のところのお気に入り。
瞑想を誘導してくれるアプリの中には、風や雨だれのような自然の音とゆるい音楽を組み合わせただけのものもあれば、ことばをつないで深い場所へ誘導してくれるものもある。
どういった瞑想がお好みか。それは、試してみないとわからない。
とある、瞑想誘導アプリ(「寝たまんまヨガ」ではない。もう削除してしまったので、アプリ名を忘れてしまっていることが残念だ)。
そのアプリは、言葉と自然音による誘導瞑想をしてくれるアプリだった。
「あなたは、海にいます。ゆったりとした〇〇で……」
寄せては返す波の音を背景に、ここちよい音程で聞こえる男性の声。うっとりと眠りに入ろうとしていた。隣のベッドでは珍しく、同じ時間に眠りにつこうとしている夫。ふたりで瞑想アプリの音声に従って眠りにつこうとする。
波の音。単調な男性の声。
少しずつ眠りの側へと引き込まれていく。
「……波の向こうに、ゆっくりと鳥が飛んでいます。そして、友人が顔を出しました」
?!
友人が、顔を出した??
波の向こうから??
隣のベッドでも、夫がざわっと動く。わたしは、思わず息をのむ。
どんな友人? 海ぼうずか!!!!
その瞬間、笑いのツボに入った。眠りかけていたはずの夫も震えている。
「ぶはーっ」
眠り始めていたはずなのに、ふたりで目覚めて笑い転げる。
「いくらなんでも、これはないよね」
波の音を聞くと、水平線の向こうに大きなタコが顔を出して、手足を振っている映像があたまに、つい浮かんでしまう。何のために、そんな誘導を行ったのか、その真意は今もわからないまま。
もしかしたら、笑うことで体をリラックスさせる効果を狙った誘導だった?
それとも、海外製のアプリで翻訳がおかしな言葉を作ってた??
眠りを深くとりたいと試した瞑想アプリだったけれど、そのアプリは散々だった。 眠りかけていたのに、突然、笑いのツボに入って眠れなくなった。
……とまあ、そんな瞑想アプリもあった。
久しぶりに、今夜は。
「寝たまんまヨガ」の音声を聞きながら眠ってみようか。それとも。ほかの自然音を聞きながら眠ってみようか。
ごわーんと、ゆるく響く鐘の音もこころ落ち着く。
クリスタルボウルの音のなかで、目を閉じるのも。心現れながら眠りにつくようでここちいい。
お気に入りの音楽を、ゆるく小さく流しながら眠るのも気持ちがいいかもしれない。何も、音が聞こえないようにホワイトノイズを流しながら、静かに眠るのも捨てがたい。
どうやって眠ろう。何を耳にしながら眠ろう。
眠るための環境づくり。選べることがたくさんあって、おもしろい。