心が不安定なときは、あえて身体に目を向けて。体調に気を配るところからはじめてはどうでしょうか。そして「楽しく過ごす」ことをあきらめない。いくつも楽しく過ごす方法を知り、自分を楽しませてはどうかと思うのです。
【ブログで相談】にいただいたご相談へのお返事です。
はじめまして。アラサーのMと申します。
(根本さんのところから田村さんを知りました。)
私は結婚5年目ですが、子供がいません。
よし、子供を作ろうとなった途端に私に婦人科系の病気が発覚。
卵巣嚢腫の手術をしました。(子宮頸がんも経過観察中)
その手術後、不妊治療に通いながら初めての妊娠。
ですが、稽留流産となってしまいました。
今、また不妊治療に通いながら妊活に励んでおります。
周りの友人は2人目を妊娠出産のタイミングになっており、どんどん会話が噛み合わなくなり、もう連絡を取る気力もなくなり、連絡先を削除してしまいました。
以前までは、ちゃんと子供が欲しいと認めるのが怖く、『授かり物だから。いなかったらそれでもいい。』と、変に強がっていました。
ですが、色々と自分の内を見つめ直し欲しいものは欲しいと認めました。
すると、今度は子供が絶対に欲しいのだ、と執着し、頭の中はそればかりになり、ストレスが溜まり悪循環。それはよくない、とまた出来なかったらその時はその時、、と、自分の気持ちに嘘をついてしまう。
年齢や、周りと比べることで焦燥感を拭えません。
極端でせっかちな性格の為、バランスよく物事が考えられません。
こういった状況の時、どうすればよろしいでしょうか。楽しく過ごしたいのですが、流産を経験してから妊婦さんを見ることができません。
(Mさんからのご相談)
Mさん、はじめまして。カウンセラーの田村洋子です。
根本さんのところから知っていただいたとのこと、光栄です。よろしくお願いします。
Mさんの今のお身体のようすはいかがでしょうか。身体の体力は戻ってきた実感はありますか。
「心と身体はつながっている」と言われます。
人は自分の体調がよくないときは、心にゆとりを持ちづらいです。それに、心が落ち込んでいると、自然と寝る時間が短くなるなどして身体に影響を与えることもあります。
身体の調子が揺れ動いている時は、心の調子も揺れ動きやすくなる。
言い換えると、
身体の調子が良ければ、心の調子も安定しやすくなる。
人は目に見えるものをより身近に感じることができ、自分で面倒を見る意欲を持ちやすい仕組みを持っています。心のようすは目では見えないけれど、身体のようすは目に見えます。
だから、今はまず。身体だいじに。体調を元に戻すことに意識を向けてはどうでしょう。
※この後、この記事内では何度か「流産」「不妊治療」という言葉を使います。目にその言葉が触れるのを苦手とする方は、ここで記事を閉じてくださいまし。また別の記事でお会いしましょう。
*
さて続きです。
>こういった状況の時、どうすればよろしいでしょうか。
― 今は主にご自身の気持ちに目を向けているところを、「身体」に目を向けるのは、いかがでしょう? 「楽しい」ことに目を向けるのも、いいかもしれません。
Mさんは、これまで長い時間、ご自身の気持ちに目を向けることをされてきたから、今度は身体を整えることに目を向けるのは、どうでしょうか?
>色々と自分の内を見つめ直し、欲しいものは欲しいと認めました。
この「認めました」と言えるまでに、とってもたくさんの時間をかけて、Mさんご自身の気持ちを見つめ直し、問いかけてきたと思うのです。
これまでは気持ち(心)に重心を置いてきたから、次は身体に目を向けてみる。
なんだか偏っているなと気づいたのだから、次は違うことに目を向け行動してみると、バランスがとりやすくなる。
だから、自分の身体のためにできることを探してみるのはどうでしょう?
医学的生物学的な機能からみた身体を整える取り組みは、おそらく病院で指導を受けているのではないかと思います。その内容のほかに、自分が自分のためにやっておきたいことをすべて試してみる。
すると、気分よりも身体に目を向ける癖がついてくるし、身体の調子も整ってくる。身体の調子が整うと、心の調子も安定してきます。
そのときに覚えておきたいのは、ヒトの身体の仕組みの性質上、少し時間がかかるよということ。流産の後は、気分が落ち着きづらいらしい(と、以前、私のかかっていたお医者さんから聞きました)。
妊娠すると、お腹の子供を守るために、いつもより不安を強く感じる身体に変わります。妊娠を続けるための物質(ホルモン)の影響を受けて、気分が不安定になりやすい。もうお腹に子供が居なくても、流産の後に「妊娠を終えた」状態として身体が整うまでに少なくても3か月はかかる。
確かに流産後、私の身体の調子が落ち着くまでに、およそ1年間かかっています(アラフォーだったからかもしれませんが)。
少し私の体験を書かせてくださいね。
アラフォーになった頃に、子宮筋腫と卵巣嚢腫で手術を2度受け、その後1年以内に妊娠し9週で流産・その後の処置もしました。その身体の修復と調整に費やす自分の生命エネルギーは、かなり大きかったです。身体の調子も不安定、気分も不安定になり、感情がとっても激しく感じられていました。
妊娠前に感じていた強さが1くらいの感情が、5倍にも6倍にも激しく感じられたり。半日あれば落ち着くはずの気持ちが、2日も3日も落ち着かず心ゆらいだり。自分でもよくわからないくらい、感情が揺れていた。心の揺れ幅はじわじわと落ち着いてゆき、比較的落ち着いたと自覚できるまでに1年ほどかかりました(アラフォーだった私の場合)。
だから、もしかするとMさんも。今は、身体の影響を受けて「焦燥感」を強めに感じられているかもしれないと思ったのです。
だから「焦燥感」を感じているご自身を、あまり追い込まないであげてくださいね。
体調が戻るにつれて、心のゆらぎも落ち着いてくるはず、と信じてみるのはどうでしょうか。
焦っているのは「今」だけで、これから未来までずっと焦り続けるわけではありません。
『焦燥感がときどき湧くとしても、そのうち落ち着くはず。焦燥感ともつきあっていけるだけの力がると自分を信じてみよう?』
……と書いたこの言葉。実は、私自身が年上の友人にかけてもらった言葉です。
確かに。彼女が言うように。時間がたつにつれて焦燥感に捕まるのは「ときどき」に減ってきました。それでも「焦燥感」がわいたときは、私自身の内側をえぐるような焼けこげそうな感覚で、しんどかったです。それでも。「焦燥感とよいつきあいができる」と言い聞かせていると、心をえぐるような感覚も落ち着きやすくなれたように思っています。
(結局、焦燥感を消せはしなかったので、あまり大きなことは言えない私です。ごめんなさい)
だから、Mさんにもそのままの言葉を贈らせてください。
『焦燥感がときどき湧くとしても、そのうち落ち着くはず。この焦燥感も乗りこなせるだけの心のしなやかさを持っていると、Mさん自身を信じてみませんか?』
Mさん、ほんとうにたくさん、頑張って来られましたね。
焦燥感が出るくらい、たくさんのことを考えて、気持を見つめてきた。これまでのMさんの頑張りを、Mさん自身もほめてあげてくださいね。
頑張った分、期待も高まります。そして、期待が裏切られたとき、つい自分を責めてしまいます。だから、今。自分を責める理由を探そうとしているように、私は感じました。
>自分の気持ちに嘘をついてしまう
と、ご自身を責めていませんか?
でも、きっとMさんは「自分に嘘はついて」いないと、私は思います。
「子供が絶対に欲しいのだ」と思う瞬間が重なるときもあれば、「出来なかったらその時はその時」と思う瞬間もある。自分にとっての最悪な未来を想像してしまい、その感覚を薄めるために「出来なかったらその時はその時」と言い聞かせる時もあるかもしれません。
人の心は、そういう感じにバランスを取ろうとします。そうものだから仕方がない。だから、ご自身を責めなくていいですよ。
*
>極端でせっかちな性格の為、バランスよく物事が考えられません。
とのことですが、「極端でせっかち」な性格は、「物事をつきつめるのが得意で、すぐ行動に移せる力がある」性格でもあります。それに「バランスよく物事を考えられない」とご自身で知っているから、「バランスを取ろうと、自分自身を振り返る意欲を持っている」。
その性格を利用して、自分の身体の調子に目を向けてみる。
焦燥感を持ち続けていたとしても、行動にうつすことはできます。
ご自身の身体を、よりよい状態に整えるために。
Mさんができそうなことを、ご自分で調べてみませんか。
そして、Mさんが今からでもやれそうだと思うことから、試してみるのも面白いかもしれません。
どういう内容だったら、行動できそうな気がしますか?
これから、どうしてみたいですか?
もしも、実際にカウンセリングの場でおはなしを聞いているとしたら、これからどうしたいかを聞き取りながら、具体的なチャレンジ内容を一緒に考えてみたいと思います。が、ここでは、これくらいで。
*
また、相談の文章の奥に、強い苦しさを感じます。焦燥感からの苦しさのほか、悲しみから来ている苦しさもあるように私は感じます。
流産をしてしまったご自分のことを十分に悲しめましたか?
流産になった子供さんのお葬式を、気持の中で終えていますか?
悲しい気持ちが強すぎると、心を守るための仕組みが働いて、人は「悲しい」気持ちをなかったことにしようとします。
いつまでも悲しみに浸っていると、なかなか未来へ手を伸ばせません。
けれど、ときどきは「悲しい」気持ちを思い出して、悲しかったねとそのときの自分に寄り添う、あるいは抱きしめてあげる。そして、少しずつ「悲しい」気持ちを昇華させていって、心をあたたかくしてあげる。
今はまだ、振り返ることはできないかもしれませんが、もし、Mさんの心の準備ができたなと思えたら、振り返ってあげてはどうでしょうか。
悔しい気持ちや、苦しかった気持ち、悲しい気持ちを振り返り、一度、自分なりに吐き出してみると、焦燥感が薄まるように、私には感じられました。
*
Mさんは、ほんとうにがんばりやさんなのですね。とっても真摯にご自分の様子と向き合っている。観察眼に優れていて、細やかな気配りもできるし、共感能力の高い方だなと感じました。そして、自分の気持ちにとても正直でやさしい方。
>楽しく過ごしたい
だから、心の中をひろいあげて、ご自分により合う行動をみつけだそうとしている。それはとっても、素敵なことです。
>もう連絡を取る気力もなくなり、連絡先を削除してしまいました。
このこと、今は心の揺れを小さくするのによい選択ではないかと、私は感じました。
「今は」連絡先を削除してもいい。その方とまた話したいと思うときが来たら、また連絡先交換してはどうでしょう。
>楽しく過ごしたいのですが、流産を経験してから妊婦さんを見ることができません。
これは「妊婦さんを見ると焦るから、楽しく過ごせない」と、Mさんが楽しく過ごすこと自体をあきらめようとしているように、私には感じられました。
楽しく過ごすことと、妊婦さんを見ることは別の事柄だと思うのです。妊婦さんを見ても、見なくても。Mさんが「楽しく過ごす」ための内容を選べば、楽しく過ごせる。そう、私は思います。
「楽しく過ごす」ためのモノコトは、いくつもあります。
Mさんが「楽しく過ごす」のは、どういう時間ですか?
何をしていると楽しいですか?
どこに行くと楽しめる?
誰と過ごすと楽しく過ごせる?
何を食べると楽しく過ごせる?
何に囲まれて過ごすと楽しい気分でいられる?
というようなことを、ちょっと、考えてみてくださいね。そして、メモやノートに書き出して、目で見て振り返れるようにしておいてくださいね。
そして
「今は、どのやり方で私を楽しく過ごさせてあげようか?」と、書き出して置いたメモやノートを見ながら、Mさん自身のために「楽しく過ごす」ことを選んであげる。
がんばっているMさんのことを、Mさんが楽しませてあげてくださいね。
*
さて、最後に。私が不妊治療中にやらなかったと後悔している内容をお伝えして、返事を終えさせていただきます。
私は不妊治療を受けている間、「妊娠できなかった私」へ目を向けがちで、パートナーのことをほったらかしになっていたな、と今振り返って思うのです。
夫のことを大好きで。大事で、愛していて。一緒に過ごしている時間が嬉しくて。
そんなパートナーへの愛を、不妊治療を受けている時に思い出していれば……というのが私の後悔です。
Mさんには。私と同じ後悔を味わってほしくない。だから、あえて伝えさせていただきます。
ご自分の身体を整えること、ご自分の気持ちに向き合うことも大切です。
けれど、できれば。
子供を授けてくれるパートナーへの愛情も、心にほんわりと思い出してみてください。
Mさんはパートナーさんを好きですか? どういうところが好きですか?
パートナーさんへ「好き」だと伝えていますか?
日本は、恥ずかしがり屋さんが多い国民性だと言われています。だから、Mさんが「少し多めかしら」と思うくらいの分量で、パートナーさんに「好き」を伝えてみるのはどうでしょうか?
Mさんには当てはまらない内容かもしれませんが、少しだけ、気に留めていただけたなら、私は嬉しいです。
……これで、返事になっていることを願いつつ、このあたりで筆をおかせていただきます。
Mさんから「子供が生まれました」報告とか、「子供が最近、おもしろいことを話すんですよね」とかいう、何気ない子供との日常のようすを教えていただけるときを私も待ってます。
祈
カウンセラー洋子のコーチングやカウンセリングでは、おはなしした最後に「おみくじ言葉」としてカードをひいています。同じように、こちらでもカードをひいてみました。こころのヒントになれば嬉しや。
★おみくじ言葉:カードからのメッセージ
つい頑張りがちになるあなただから、意識的にゆっくり過ごす時間を持ってみる。
そして、考えておく。妄想力を働かせて、より幸せな暮らしをイメージする。
お子さんが生まれてから、数年後。
あなたは家族とどういった暮らしをしていると思いますか?
ご自身が「こうなりたい」と願う形・ビジョンをもつことで、周りからも助けを得られるようになります。
「こうなりたい」と願う形をイメージするときの参考にお読みください。
⇒こうなっていたら最高に幸せ!~なりたい姿を自覚するための方法
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