遠出して、今。親せき宅で、ひとり留守番中。ごはんの買い出しをしていたら人恋しくなり、ちょっとだけ遠回りをした。くるっと、2区画分多めに回ると小学校の前。下校時刻にあたっており、門が半分開いた校門からぞろぞろと、大きめの小学生さんたちが出てきていた。
門を出てすぐあとは、まとまって進んでいるようにみえた子どもたちも、はらりはらりとほどけていく。これから、家に帰る子どもあり。公園で遊んでから帰る子どもあり。
門を出て、大通りを進んで、横断歩道を渡って。道を進んでいくごと、行く先はばらばらになる。それぞれ、目的地に向かって動いていく。
わたしの戻る道と同じ方向へ向かうのは、公園に向かっている子供たち。追い抜いたり追い越されたりしながら、一緒に帰っているように進んでいく。
「あ!」
ひとり、立ち止まり空を見あげる子ども。
それにつられて、空を見た。
一面、波が走ったような雲の跡。
ゆっくりゆっくり、波打っているように。形はゆれて動いている。それなのに、雲の筋はしっかりと、空を離れる気配は見えない。
ぼやんと、空を見あげていたら、夏の日に潮干狩りで水の中をのぞいた時のことを思い出した。
波の模様が、もんもん。ついた砂の下で、こっそり、貝たちが過ごしている。
その痕跡を探して、掘り出し貝を採った。
波はもんもんと、同じように続いて見えるけど、いきものの痕跡は小さくぽつぽつ見えている。ひとつ、痕跡があるとわかれば、すっと痕跡が波模様の中に浮かぶようにして見えてくる。
あの、雲の模様の向こうにも。波のもんもん、のぞいた時みたいに、何かの痕跡見えるかな。
首が痛くなるくらい、空を見あげて。ずずーっと伸び上がって、雲の模様の向こうをみていたら、ぶるりと身震い。冷たい風が吹いた。
右手に下げていた買い物袋の重さを思い出した。耳に音が戻ってきた。公園で遊ぶ子どもたちの笑い声が聞こえた。
留守番を任された部屋に向かって、ゆっくり、戻った。
ドアを開けたら、真っ暗な廊下。
電気をつけながら「ただいま」と声を出した。
おかえりなさい。
公園で遊んでいた子どもたちの声を思い出した。
今ここにいるのはわたしひとりなのだけれど、ひとりではない感覚を思い出せて、ふと笑った。
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11月15日開催の「目標立てるのが苦手でもできる、夢の描き方」ワークショップ。