自分自身の素のかたち。お酒のみつつ考えた。

そら豆がたくさん、実家から届いた。さっそく、さやから出して冷凍庫や冷蔵庫にしまう。悪くなりかけていた豆だけを集めて、今夜は豆の素焼き。

先日、もらってきた日本酒の封をうきうきと開けて、おちょこ一杯。そら豆をかじりながら、ちみちみと飲む。ごきげん。

おいしいものを食べて、ごきげん。
お酒があたまの力をゆるめてくれて、ほわっとなる。

日常の中で、すぐに思考がうるさく活動する。ほんの少し思考を動かしただけのつもりでも、行き過ぎるくらい考えてしまう。「思い悩む」「考える」ことを趣味にしているのだからと、考えすぎる思考ずきな自分をあきらめている。

一瞬でたくさん思考が動くのはわたしの特性上しかたがない(HSPの特性のひとつに「処理の深さ(Depth of processing)」がある)。身体がそんなしくみなのだから、しくみをしってつきあうしかない。

それほど「思考」好きでも、お酒を飲むとふわっと頭の力はゆるむ。

あの、ふわっとした感覚が好き。

自分をおさえている力や理性はゆるくなる。感じたまま、思ったままを口にする、言葉に出す機会が多くなる。

あたまで言葉を選んで、状況に合わせて発言しようとしなくなる。心の奥深い場所に置いてあるものが、かざることなく、しゅるっと表に出てきてしまう、出てくる。

お酒を飲むことで、本心や自分らしさを表に出しやすくなるのは理由がある。お酒に含まれるアルコールのはたらきで、思考をうごかしている部位(大脳皮質)の動きが悪くなってくる(麻痺する)から。そして、思考に抑えられてきた本能や感情をうごかす部位が元気を取り戻す。だから、お酒を飲んでごきげんになってくると、日中は考え考え話しているようなことばも、あれこれ考えないままに、ふわっとざっくり口にできる。

それと。「お酒の席だから」という暗黙の了解、発言しやすくなるような雰囲気も影響しているかもしれない。

あと。夜はあかりが薄暗いというのも、言葉が出やすい理由だ。外が見えづらくなる分、視線が自分の内側へと向かう。結果、内にある気持ちがこぼれ出やすくなる。話をする相手の顔が、はっきりと見えないから、必要以上に顔色をうかがうことがなくなる。周りも騒がしいことが多いから、自分の言葉をその音のなかに混ぜやすい。

お酒のまなくても、いつも、そのままな自分を出していいのに。

あたまの力、ゆるめて、ぼわっと。心にうかぶものを、自分自身の表にたぐり寄せる。

気を使わなくていい人たちと一緒にお酒を飲んでいる時、自分はどんな感じにふるまってるだろう。何を思って、何を話しているかな。

そこに、もしかしたら、自分自身の素のかたちが出てきているかもしれない。

日常の中から、もっとオープンに、ごきげんに。自分を出してもいいのにね。自分でそれとは知らないうちに自分にブレーキをかけて、ネコの皮をかぶった「良い子のわたし」になろうとする。

それでも、だいぶん。ネコの皮は脱ぎ捨てた。そろそろ、出てこい。そのままなわたし。ネコの皮をかぶっているなと気づくたび、脱ぎ捨てて、どんどん身軽なわたしに戻る。

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田村 洋子

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