「最近の夜行バス、おもしろいよ。昔に比べたら座席もいいし、ゆったり眠れるんだから」
旅行好きの集まるコミュニティーで知り合った友人に熱く語られて、夜行バスに乗って京都に向かった。22時過ぎに新宿を出発し、朝7時ころにはもう京都だ。
夜行バスを直近でわたしが使ったのは8年ほど前の冬の初めだった。終電を逃した出張先から、次の出張先へと向かった夜行バスで、車内が随分と寒く、前の席のいびきがはげしかった中、狭い座席であまり眠れなかったことを覚えている。
友人の勧めは3列シートだったので、おすすめどおり3列シートの夜行バスを選んで予約。観光バスなどは二人掛けの座席が左右に二列あるタイプだが、3列のバスは間を開けて、3席が横に並ぶ。
3列シートのバスは、席の間が少し空いている。席についても、隣の人と腕が重なる心配はない。そのことにほっとする。前回乗った夜行バスでは、隣の腕がこぼれてきてきゅうくつだったことを気にしていた自分にきづいた。
座席は指定席。バスに乗るときに予約した名前を聞かれて、座席番号を教えてもらいバスに乗り込む。わたしはバスの最奥部、窓際の席だ。
外に面するバスの窓は、丈の長い遮光カーテンでふさがれており、そとの光も入らないし、寒い空気も少しは防いでくれる。以前は窓の側に面した腕がとっても寒かったから、ありがたい。
通路に面した側にも、カーテンがかかっている。閉じてしまえば、ほぼ個室風になる。自分だけの空間があると思えるのは、バスの座席といった狭い場所であっても安心。
(もし3列の中央であったとしても、じゃばらのフードを座席の頭側からおろすことができる。あれも、視界をふさぐから個室っぽく感じられるのかしら、どうかしら)
座席は深く倒すことができる。足元を跳ね上げるフットレストも快適。身長165センチの中肉なわたしの身体をつつみこむようで、座席の座り心地は上々。
大きな荷物はバスの車体下にあるトランクに預けるのが正解。そうしておけば、前の人が座席を倒す邪魔をせずに済む。貴重品と快眠グッズだけを車内に持って入った。
●快眠グッズ(わたしの場合)
アイマスク、口元を覆う布のマスク、耳栓。
着圧式ソックスがあれば足のむくみ防止に便利。
座席に落ち着き、シートベルトを腰に着けて、薄くて長い毛布で足元から肩まで包み、快眠グッズを装着。眠りにつく。
途中、トイレ休憩の時間があった。車内の座席足元のあかりが、バス出口まで出るわたしの足元を照らす。3列席でバスの最奥に座っていたから、出口までが少し遠かった。
バスの座席から出口へと向かう途中、カーテンにコートのファスナーが引っかかったり、通路に落ちていただれかのかばんを踏みそうになったり、自分のバッグの肩紐が中央席のどこかにひっかかったり……。
夜行バスに乗るときには、ファスナー付きでないコートの方がいいかもしれない。バッグも胸元に抱えて動くようにしようと決める。
そんなこんながあったものの、無事に朝を迎えた。7時間くらいは眠ったはず。前回にのった夜行バスはかなり疲れて到着したのにくらべ、今回は気もちよく目覚め、元気なわたしのままで京都に降りた。
座席がゆったりしていて、個人の専有面積が広いと、これほどにも疲れ方が違うのか。これなら、旅行にしても出張にしても、着きたい時刻に合わせて夜行バスを利用してもいいかもしれない。
「夜行バス、すごいね。言っていたとおり、快適になってたよ」
興奮状態のままに朝の京都駅で、夜行バスを熱く語った友人にメッセージを送った。そうしたらすぐに返事が送られてきた。
「夜行バスも種類があるからね。バス会社によって3列シートの具合も違うし、到着後に休憩スペースを貸してくれるところもある。今度、おすすめの会社おくるね」
友人よ、どれだけ夜行バスを愛しているんだ。次に会うときにも、また。夜行バスのはなしになることが確定した気がする。友人はどこに向かう夜行バスに乗ったのかな。
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今回、わたしの利用した夜行バスはこちら。
今、この予約公式サイトをみて気がついたけれど、京都に到着した後にラウンジ(友人がいうところの休憩所)が利用できたみたい。顔を洗ったりメイクをしたり、服を着替えたり、時間調整したりするのに便利そう。次に利用機会あれば、高速バスのラウンジに入ってみようと決める。
公式ページで予約すると座席指定ができる(今回のわたしは旅行サイトから予約したので座席指定できなかった)。座席指定ができるなら、3列シートのバス前方で窓側の座席を選ぼう。そのほうが落ち着いてトイレ休憩に出られるし、安心して眠れるように思う。