その季節の食べものに、私はあこがれるようだ。食べることも好きだけれど、色も好き。
ブルーベリー狩りに行く前にカットしたら、ブルーベリーの色に頭を染めたくなった。今は栗の季節。いが栗からのぞいた栗の実のような、つやっと茶色になってみよう。
美容室に出かけて、髪の色を相談する。そして、無彩色な真っ黒で温度をもたない頭が、あたたかな赤みをもつ栗色になった。 頭を整えてもらって気分一新。
髪の色が変わると頭が小さく見えるような気がする。鏡に映る自分のあたまを、ふと見つめて笑ってしまう。たのしい。
毎朝、鏡を見たときに、自分の表情を確認したり、自分自身にはなしかけたりしている。鏡を意識してのぞき込むのは朝くらいだったのだけれど、髪色をかえてから何度ものぞき込む。頭の色が違うだけで、別のわたしと話をしている気分になる。
鏡の前をよこぎった私の姿を横目にみて、 どこかで見たことある髪の色だと、ふと思う。誰の頭だったかな。
思い出したのは舞台のポスターにあった人の髪色。小説を原作とした舞台作品のキャラクターのだったか、宝塚の公演どれかのポスターか。どちらにしても、2.5次元な人の頭の色だ。
そうなると今日も妄想が止まらない。鏡をとおして、公演や小説のキャラクターが私に乗り移る。鏡の中に見える私は、ここにいる私とは別の私。2.5次元な私。現実と空想が入り混じって、ここにいる。
声だって、思いのまま。お好みの声を想像しながら、たくさん、自分を褒めてみる、励ましてみる。2.5次元な私のままに自分を褒めてみれば、受け入れられることが増える。内に隠してあった自分自身がひっぱりだされてくる。
妄想は無限大。鏡を入口に自分で自分と話してみるのはいかが。
内にある力を引き出せてたのしい。