雨がしょぼしょぼ降るときは、周りからの音が少しまるくなる。
そのうちに、まるくなった音のすき間から、ぽたん、ぽたんと雨だれの音。
ぽたん、ぽたん。
音を聞いていると、少しずつねむたくなってくる。古い日本家屋の縁側か、おこもり部屋の窓辺に座っているような。安心できる、おだやかなときを思い出す。
寝ようか、どうしようか。
迷う時間をもてる、このゆったりとした時が好き。
そして、この時を好き、といえるようになったじぶんも少し好き。
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雨が降ってくる前は、あたまが痛くなったり身体がおもくなったりすることも多い。特に、天候が激しく変わるときには、身体が天候にひっぱられるように重くなる。
いつになったら、身体の重さがぬけるのかな。
ひとりでイライラすることもあった。今も、たまにイラッとくることがある。
でも、天候はじぶんでどうすることもできない。
どうすることもできない。と諦めたら、身体が重いなりにどうしようか。と考えるようになった。
身体が重いなら、重いと感じる今はしかたがない。体が重いなら、どうすごそうか?
身体が重いから、肌ざわりの良い服を着て、べらりとベッドの上にのびておこう。
気が向いたら、いい香りのするお茶を入れてみよう。
窓を少し開けて、雨のぽたぽた、落ちる音を聞いてみよう。
そうして、少しずつねむたくなってきている。 ←今、ここ
今日、いちにちを必要以上に、ゆっくりと動く。
そして、そんな風にゆっくりと動いている自分をじぶんでながめて「ナマケモノの映像みたいでおもしろいな」と少しわらう。
自分ができることをする。
じぶんでどうしようもないことは一度わすれる。
いま、自分はどうするとここちよくいられるかな。その工夫をひねり出す。
はじめは「ひねり出した」感がつよく、なじまないこともあるけれど。
それでも、そのうち。ほんものの「ここちよさ」になっていく。