ハンドクリームを手に塗っていた時、「神さまは先端をめがけて、天から降りてくる」といった祖母の言葉を、ふと思い出した。
それは、人の「先端」をきれいにしておくと、天からの神様が人の身体に宿って、その身体と心を守ってくれるという言い伝えに通じる。
人の「先端」とは、手の指先・爪、髪の毛、足の先(足運び)。少なくとも、祖母はそう言って、手の爪や髪の手入れ、歩く動作にとても心を配っていた。
手の爪はしゅっと整い、くせ毛の髪もていねいにとかして結い上げていた祖母の姿を思い出した。ふわふわと軽く見えて、とんとん地面を踏みしめて歩く、独特の歩き方をする祖母だった。
あの歩き方はできないけれど、手の爪をきれいに整えてみることは、私にもできるはず。
朝まだ早いのをいいことに、ゆっくり時間を過ごすと決めた。そして、いつもより丁寧に。手を取り扱う。
手の爪の生え際と、爪の先端と指の隙間に、そっとオイルを塗ってみる。ゆっくりと手のひらでオイルを温めながら、やさしく。手の爪ひとつひとつにオイルを広げ、塗りこむ。
それはまるで瞑想をしているようで、祈っているような、静かな時間。
これほど、丁寧に自分を扱った時間が最近あっただろうか。
そっと、やわらかに自分の手をとり、やさしく包み込む。オイルを塗った爪が1本、また1本と増えるたび、自分自身もべっぴんな自分に近づける気がする。
なんだか、嬉しくなってくる。薄明りの室内に灯る小さなルームランプに、手のひらをそっとかざし、照らす。
手の指、全ての爪がつやっと光る。
手のひらと手の甲も、クリームとオイルのお陰でいつもより艶やか。
うん、確実に。手はきれいになった。これなら……(神様がやってきても恥ずかしくない)。
*
手の爪や髪の手入れをする時間。
それは、自分自身で「自分を丁寧に取り扱っている」と自覚する時間。
自分で自分を丁寧に取り扱っている自覚を積み重ねると、自信につながる。自信を持てると、自分の身体と心が守られる。それを、昔の人は知っていて「神が天から降りてくる」という表現をしていたのかもしれない。
*
自分を丁寧に取り扱っている時間は、きっと、誰もが持っているから。
自分にとって「自分自身を丁寧に取り扱っている時間」を思い出す。
それは、お風呂に入っている時かもしれないし。
大好きなものに触れている時間かもしれないし。
美味しいものを食べているときかもしれないし。
大好きな人達を過ごしている時間かもしれない。
家の中で、自分のために花を飾る時間かもしれないし。
緑を育てている時間かもしれない。
あなたが「自分を丁寧に取り扱っている時間」はどんな時ですか。
1日に、1週間に、どれくらいの時間がありますか。
その時を重ねて、自信にする。
……もしも、「自分を丁寧に取り扱っている時間」を思い出せないときは、手の爪の手入れをいつもより、丁寧にやってみませんか?
すると、自分のために時間をとってしている何かのことを、思い出せたり気づいたりするかもしれない。
そして「神が天から降りてくる」
(かもしれない)
それでは、またね。
お告げ師でカウンセラー 田村洋子でした。
追伸:ハンドクリームを塗るたびに「かわいらしくなあれ」と謎呪文を唱えたおかげか、以前よりは「かわいい」に抵抗がなくなってきました。
呪文(アファメーション)はいいですね。だんだんと、自分が嬉しい時間が増える、当たり前のものとして自分に刻み込まれていく。そんな呪文探しも、やってます。
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