絵本を読むように、空を見上げている。見上げたその時々に違っている空のかたち、色。空気のにおい。自分の内にあるものと、ふと結びついておはなしになって浮かび上がる。
今日は、空を見上げたら竜がお散歩してた。
雲と雲の間に見える散歩中の竜は、飛行機雲がふくらんだもの。空気中の水分や風の具合がほどよくて、なにか生き物が動いているように見える。そんな理科的な事実を知っていたとしても、竜の散歩のほうが今の気分にしっくりと来る。
たぶん、久しぶりの空を飛んで竜は楽しかったの。
ふんふふふふ~ん、らららら~♪
しゅるりしゅるん、大きな雲の上は気持ちがいい。上に伸びてる雲の波を、時折ぱくりぱくりとつまみ食いしながら、雲と雲の間を行ったり来たり。
大きくて分厚い雲があるから、地上からは見えないだろうと油断して。はなうた混じりに空を散歩してた。
うっかり、人から見える場所に出てきてしまったから、慌てて隣の雲へと隠れる。
……そんなお話。
空を見上げるたびに、みえてくる景色は変わる。見上げた気持ちによって、見える絵が変わる。出てくるおはなしも変わる。空が絵本のおはなしだったら、こんな風なお話になるように思う。
夜、静かに月や星をながめる時間も楽しい。知識として知っている天体がデータのどおりに空にあることを確認できたら、人間の知りたい欲に嬉しくなる。光が散らばる黒い空間が美しくて、ほわっとため息が出る。
人と違った時間の長さにある惑星や宇宙のことを思うと、たくさんの妄想、たくさんのお話が浮かんできてにやにやしてくる。
疲れた時も、楽しい時も。空を見上げる。そして、そこにものがたりを感じる。だから、絵本を眺めるように空を見上げている。
空を見上げて気分転換。わたしのばあいは絵本を読むように気分転換。
あなたの気分転換は、どんな風ですか。