あなたは何を選びますか?(祓いの頃に思うこと)

夏至を過ぎた後、神社の境内で茅の輪をみつけてくぐってきました。茅の輪くぐりは「夏越の祓い(なごしのはらい)」とよばれる行事のひとつ。夏を元気に過ごせますようにと願う、季節の節目のおまじない。

夏越の祓いは、旧暦水無月(=6月)の末にされる、おまつりだけれど
新暦(今のカレンダー)での季節感のずれを調整するため、7月の末頃に行う地域もある。
わたしの育った地域も、夏越の祓いは7月末頃。

夏越の祓いの思い出は、夏の夕方のそぞろ歩きでしょうか。

日の入り後の少し涼しくなった時間に出かけて、境内に設置された茅の輪をまっすぐくぐってお参りしていました。
その光景が、今も心に残っています。

最近では茅の輪の横に「8の字に3度くぐるのが正式な作法」と書かれている神社も増えましたが、わたしは大人になり、四国の外に出るまで、その作法は知りませんでした。地域それぞれの風習の違い、おもしろいですよね。

心、鎮めると浮かぶもの

7月後半は、「自分の心を静かに整える」ための時間。

年が明けてこの半年。
自分がどんなことに関わってきたかを思い返し、
そろそろ手放したいものはないか、改めて考えてみるようにしています。

もう、やめたい。
もう、変えたい。

そう思っていることは、ないでしょうか。

心の奥にたまっていた小さな違和感。
ほんとは手放したかったのに、あいまいに抱えていたままの”何か”。

それらが、ふっと浮かびあがってくるようなとき。

心、静かにあるから、ふと浮かぶもの、本音を感じ取りやすくなる。

そんなときだから、自分に聞いてみてください。

「わたしは、何を選ぶ?」

「選ぶ」とは「手放す」ことでもある。

あなたは「選ぶ」こと、得意ですか?
わたしは、あんまり得意じゃないです。選ぼうとすると、ぎゅっとして、自由が消えるような気がして嫌になる。選ばないまま、進みたいと思ってる。

でも、何かをしてるときって、自分では「選ぶぞ!」と意識していなかったとしても、何かしら選んでるんです。

何かを選ぶということは、何かを選ばなかったというのと同じ意味。
あなたは、何を選んで、何を選ばなかったのか。
再確認してみる。

そのために、今年のはじめの頃や年度のはじまりに立てた目標や、こんな風にしようと願ったものを思い出してみてください。

そして、考えてみる。自分に聞いてみる。

今のわたしにとって必要なものは何だろう?
あのとき願ったことは、今のわたしにも合っているだろうか?

手帳やノートをめくって、年初に立てた目標や思いを書き出したものを眺めてみると、
「これはもう違うな」と思うことや、
「今も、これからも大事にしたい」と思うことを、再確認できる。

違和感を覚えることは、自分に合う形に変える。
やめたほうがよさげなことは、やめる。
しっくりとおさまる形へ、整えていく。

整える・祓う(浄化する)・迎え入れる

そうはいっても、なかなか、気分が整わないこともあるかもしれない。
すぐには整理できないってときも、大丈夫。
「わからない」とか、「まだ、うまくやれない」って思ってるんだなと、理解しておく。

でも、そんな感覚をもったままで
「この先どうしたい?」と、自分の心に問いかけていく。

聞いてみると、見直しが進む。選び直せる。
自分に問いかける。そこに湧く気配を感じる。そして、自分の思う未来や理想にしっくりくるように選ぶ。この繰り返しの中で自分の中の“選ぶ力”が、自然に育ってくる。

夏越の祓は、形としては神事であり、季節行事。
思い悩み、停滞感、どことなく曇ってきた感覚の全てを、茅の輪くぐりという動作をスイッチにして、すっきりと切り替える。そんな意味が込められてある。

見えないものを、見えないままに扱っているとなかなか、大変。イメージしづらいから。
見えないものを、見える形に写し出して、実際に体感通してやるとイメージしやすい。

この7月。残りの日々も、自分の中にある小さな曇りを、そっと見つめて。
気がかりは、あきらめたり、書き出して手順整えてみたり。
やるべきは、やる。やらないものを、やらないと決めるなどし、
新しい季節を、できるだけ軽やかに迎えたいと思っています。

この7月。
残りの日々をつかって、自分の中にある小さな曇りやひっかかりを、そっと見つめてみてください。

みつけた”気がかり”は、あきらめるか整えるか。
やるべきことは、淡々と。
やらなくていいことには、きっぱり「やらない」と決めてみる。

そうすることで、次の季節が、少しだけ軽やかに迎えられるかもしれません。

あなたにとって、心地よい夏になりますように。

それでは、またね。

このレターを書いていて、思い出したわたしごと、続いて書いてみます。よさげなことは何も書いていないので。ここで閉じていただくもよろしいかと。

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さて、わたしごと。夏越の祓に関して思い出すものを。

祭礼に携わっていた中学生ころまでは、7月末の7日間は毎朝、「水行」をしていました。
おっちゃんらと一緒になって、ざんぶざんぶと水をかぶる。

時は日の出前。お風呂場か井戸の脇で水をかぶり、本堂に出てお経を唱える。そこから子どもたちは裏山の地蔵さんたちに朝のお供えを置いて回る(八十八か所もあった! 今思うと、夏休みの子どもを早起きさせるための大人の知恵だったのかもしれません(笑))。

街に出て、土地を離れた今でも、この7月末の1週間は、わたしにとって特別な時間です。

朝、シャワーを浴びて、心と身体をしゃんとさせる。
そして、その日これから会う人の顔を思い浮かべながら、静かに手を合わせる時間を持っています。
7月の末だけは、なんとなくですが意識して、毎年そうしているのです。

ほんと、「三つ子の魂、百まで」とはよくいったもので。
幼いころに染み付いた感覚は、何年たっても不思議と、身体が覚えているものですね。

あなたにも、そんな「三つ子の魂百まで」な感覚、ありますか?

もしあるのなら。その感覚を思い出してみてください。

幼い頃のあなたと、今のあなた。
そのつながりの中に、あなたの使命を思い出すヒントがみつかるかも……

では、こんどこそ。おしまい。

またね。田村洋子でした。

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