同じ場を、ひととき、共にわけあう。
そのとき、人はこころの奥の向こう側でやんわりと、つながる。
*
昨日5/29の昼間、東京の空にブルーインパルスが飛んだ。
医療従事者のみなさまに「ありがとう」と感謝の気持ちを込めて。白いスモークで空に線を書きながら、東京の空を飛んで行った。
「飛行機が飛んできたよ」と子どもの声がする。
その声につられたように、下を向いて歩いていた人たちも顔をあげた。足を止め、空を見あげた。
「あそこに飛んでる」「ブルーインパルスだ」「どこ?」
空を見あげて口々に探す言葉が、静かなざわめきになって拡がる。
きゃあきゃあと、歩道の脇に立ち止まる人。空を指さす人。みんな、たのしそう。
わたしは空を見るのも楽しいけれど、周りの人のようすをみるのも楽しかった。
マスクをつけたままの顔のうしろで、大きく口がにんまりと動く。笑い声が聞こえる。子どものはしゃぐ声もする。
外で、空を見あげて笑うなんて、どれほど久しぶりだろう。
飛んで行く飛行機たちが、地上にいた人たちのこころをまとめてくれる。
ふわふわ。ざわざわ。笑顔と驚きが広がって。そこここにある気配たちがつながっていく。そして、ぐるんと大きなひとつになった気がした。
空を見あげていた間、みんな笑顔だった。
あのとき、あの場を。ともに分け合って、笑顔が重なる。
ひとりだけの笑顔より、あの場に居たたくさんの人たちの笑顔。奇妙な仲間意識がふわっと浮かんできた。
この仲間意識のような感覚が、こころの奥のむこうでつながる感覚かもしれない。
*
そして「ありがとう」とメッセージをもって飛んで行った飛行機たち。それを見送った後は、自然に意識が感謝へと向かう。感謝の行き先を周りに探し始める。
お店に居る人も、歩いている人も。自分の内臓も、細胞も。景色の中にあるみどりも空も……周りにあるこの世界に「ありがとう」とおもった。
日常に見える中で、それぞれに生きてる。その実感が押し寄せて、心臓の奥がたぷたぷとふるえる。きゅうっと息が詰まるような、しあわせな気持ちになった。
空を見あげていた時間は、長かったようで、あっという間。
それなのに、こころの奥底で気配たちがふんわりと重なり合ったときの、しあわせな気持ちはしばらく自分の内に残る。
空には、ほわほわと柔らかな雲のラインが残った。その白いラインは、にじむようにふくらんで。いつのまにか、空の青の中に溶けていった。そして、日常に戻った。
***
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